ぼっち女子大生🐧のリア充計画

女子大生ペンギンの日常

ぼっち女子大生🐧1人食堂へ…

多くの学生で賑わうお昼どきの大学食堂。


その中に、挙動不審な動きで食堂内を彷徨う

ひとりの姿があった。


ぼっち大学生、🐧である。


四月に入学したばかりだというのに、


彼女は学食ぼっちの常連になっていた。


お盆を持ったまま部屋を右往左往、


空いている先を探しているがなかなか見つからない。


幸いにも、ここで例のコピペのごとく


「どうしようもなく錯乱して、調味料や飲み物が置いてある台で立ち食いを始める」


などという事態には至らなかった。


自称プロぼちラーの実力は伊達じゃない。


平然と席を探し続ける。


ちょうど目の前の4人がけテーブルが空いて、


安堵の息を吐きながら🐧は1人席に着いた。


そして、愕然とした。


目立ちすぎる。


運の悪いことに、そのテーブルは食事を注文する為に並ぶ学生の、長蛇の列の真横であった。


好奇の目に晒される(自意識過剰)。


普段ぼっち飯はカウンター席で済ませる🐧。


さすがのプロも、今回ばかりは動揺を隠せなかった。


見られているような気がしてならない。


「あの子1人だわ」と言われているような気がしてならない。


恐らく1人で食べる🐧のことなど、


誰も気にしていないのだが、


悟りを開いた修行僧のごとく、開き直って、


平気でいるほどの境地には至っていなかった。


プロ失格。


必死にラーメンをすする🐧に、


ここで救世主が現れる。


「相席いいですか?」


顔を上げると、そこには眼鏡の黒髪男子。


紛れもなく同胞である。


いや、彼の貫禄からするに先輩である可能性が高い。


🐧は頷いた。


これは良い。近くに誰かがいるというだけで、安心感が違う。


2人は黙々と食べ続けた。


それにしても、


スマホを見て薄ら笑いを浮かべながら、カツ丼を貪る男と、


一心不乱にラーメンをすする女。


これは側から見てカップルにも友達同士にも見えまい。


食べ終わり、一足早く🐧は席を立った。


謎の達成感と共に食堂を出ると、


心地よい風と共に、満開の桜が目に付いた。


その下で、学生たちは大変楽しそうに、


軽やかにキャンパスを歩いている。


なんとも素晴らしい光景だ。


去年の春、自分は満開の桜を恨めしく思っていた。


悩みのつきぬ受験生活真っ只中の自分と、


穏やかでいかにも幸せそうな周囲の雰囲気。


来年こそは自分も春の輪に入るのだと息巻いたものだ。


そして今、


自分はお望み通り大学生としてこの場にいる。


恵まれているじゃないか。


いまはまだ自分キャンパスは白いままかもしれないが、 


これから春夏秋冬の思い出で彩ってやるのだ。


ぼっち大学生🐧の華やかな大学生活はここから始まる。